やられたらやり返せ

人間のシニシズムとは、個人間の利害が原動力となり、それは相手の裏切りによって高められるもの。

1989年 鈴鹿

タイトル争いで優位に立っていたのはプロストだ。残りの二戦でセナが一度でもリタイアすれば自動的に栄冠が転がり込んでくる。しかしこのシーズンでチームを去る彼は、チームへの疑心暗鬼から憂慮していた。

一方のセナもまた、悪夢にうなされていた。「プロストはレースにおける論理や誠実さというものに対する敬意を持ち合わせていない」と信じ込んで、不安に陥っていたのだから。

こうした心理状態と不穏な空気の中で、何かが起こることは十分予測できた。

セナとプロストとの間に起きた不幸なアクシデントは、起こるべくして起こった事故だった。

1989年の確執

このあとセナは再度コースに戻り、1位でチェッカーを受けた。しかしレース後の審議で失格処分となり、セナのチャンピオンへの道は断たれた。

セナはFISA(現在のFIA)の判決文に対し、「F1界の上層部は腐敗している」と糾弾した。罰金10万ドルも勿論払う気はないと明言。この発言にFISAは謝罪がなければセナのF1ライセンスを剥奪するという事態にまでなった。

ロン・デニス

90年シーズン開幕直前に、FISAは1通の詫び状を受け取った。送り主はアイルトン・セナ、罰金の支払いも済んでいた。

支払われた紙幣はもちろん本物でしたが、手紙の一番最後のサインだけは偽物だった。その文書にセナの筆跡を真似て書いたのは、マクラーレンのロン・デニスだったという話。もう時効ですよね。

1990年 鈴鹿

セナのシニシズムの中には、徹底した冷淡さをもって遂行されるシナリオがあった。

目的は王座奪還、スタートでセナはポールポジションという有利な立場をあえて活かさず、プロストのフェラーリを先行させた。

フェアプレイなどの道徳観念を心から締め出してプロストに当てにいき、1コーナーのエスケープゾーンへ突っ込んだ。

巻き上がる砂埃と悲鳴の中、セナのチャンピオンは確定した。

1990年の復讐

1990年 9月、鈴鹿の1か月ほど前にリズボンの空港で、唯一F1ジャーナリストのトゥッリーニ氏だけに打ち明けられていた、セナの言葉がありました。

「現在、1年前とある意味同じで、ある意味正反対の状況が生じている。あの時は彼が事故を引き起こし、僕を失格に追いやった。十分あり得る話だが、再び僕たちの間で衝突があっても、今回、損をするのは彼のほうだよ」

「1989年の鈴鹿で彼がしたことと同じことを、今度は僕がする。躊躇はしない」

やられたらやり返す。黙って引き下がれない時がある。

ファンにとって、1ラップ目でのリタイアは、正直がっかりですが、、、セナにとっては、正義であって、返しておくべき事だった。

そこには、2台のマシンがあたかも砂浜に打ち上げらた鯨のように座礁していた

会社や組織においても、人間関係での戦略としては「基本的に協調はとても大切なことですが、同調する事はない。相手が裏切ってきた時はやり返す」ことが最強の戦略です。

まず最初はこちらから相手に協調し、その後は必ず相手の行為と同じ行為を返す。つまり、相手が協調してきたらこちらも協調で返す。相手が裏切ってきたら、こちらも裏切りで返すのです。

協調であれ裏切りであれ、そっくり相手に返さなければダメだということ。もし相手に裏切られたら、黙ったままにしないことも必要なのです。これをせずに、いい人を演じ続けているだけでは、結果として長期的な利益を損なうことになってしまいます。

やられた分だけ、同じように相手にやり返すことがニュートラルな結果になる。

ちなみに、少し前に流行った半沢直樹の「やられたらやり返す、倍返しだ!」ではありません。倍返しでは、また新たな確執を生む。何事もやり過ぎはいけない。

そもそも、この半沢直樹の有名なセリフは、池井戸潤の原作には一切でてきません。TVドラマにした際、視聴者の脳へ印象を付けるために、局側であとから付けたセリフですからね。

見事にTV局の思惑どおりに動きましたね。

JEM

投稿者: 【公式】秘書の品格-クラブアッシュヴァリエ-

大阪日本橋にある『秘書の品格-クラブアッシュヴァリエ-』です。

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